今回インタビューをさせていただいたのは、生きがいラボ株式会社の福留幸輔さん。
人々が生きがいを持って働ける社会の実現のため、「ノーレイティング型の人事制度」の普及に取り組んでいらっしゃいます。
プロフィール
名前 | 福留 幸輔 |
事務所名 | 生きがいラボ株式会社 |
生年月日 | 1973年2月1日 |
出身地 | 大阪 |
社労士歴 | 21年 |
趣味 | ドラム |
尊敬する人物 | 坂本竜馬 |
HP | https://ikigai-lab.jp |
特徴
- 人事評価と給与を分離した「ノーレイティング型人事制度」の導入をお手伝い
- 社員さんの「生きがい」を重視したコンサルティング
- シンプルな人事制度で企業組織の活性化を図る
対応業務
- 人事・労務コンサルティング
- 就業規則・人事評価制度
得意な業種
- IT企業
- 製造業
- 小売業
社労士になったきっかけとこれまでのキャリア
社労士になられたきっかけと、これまでのキャリアについて教えてください。
福留さん:大学を卒業した後、中小企業向けに社員研修やコンサルティングを行っている会社に入りました。
そこでは法人営業としてキャリアをスタートし、業務を通じて中小企業の経営者の方々とたくさんお話をさせていただきました。
経営者さんとお話しさせていただく中で、どうにかもっとこの人たちのお役に立てるようにはなれないかと考えるようになりました。
そのためには、経営の知識を身につけなければならないと考えて、労務の専門家である社会保険労務士の資格取得のために勉強を始めました。無事試験に合格し、社会保険労務士の登録をしたのは2002年のことです。
私は法人営業をしていた当時から「人事コンサルタントとして独立・起業する」というビジョンを持っていました。
その夢を叶えるために14年間勤めた会社を退職し、2010年に生きがいラボ株式会社を設立しました。
多岐にわたる経営コンサルティングの分野の中で、なぜ人事コンサルティングを選んだかと言いますと、人事コンサルティングが最も直接的に「人の役に立てる」分野だと考えているからです。
生きがいラボ株式会社の特徴
生きがいラボ株式会社さんの特徴を教えてください。
福留さん:ノーレイティング型の人事制度の設計・運用のお手伝いをメインの業務としてさせていただいています。
ノーレイティング型人事制度では、従来型の人事制度が人事評価項目に沿って点数・ランク付けをして社員を評価するのに対し、点数・ランク付けをせずに社員を評価をします。
No Rating、つまり、レイティング(段階評価)をしないという意味です。
ノーレイティングの考え方は近年アメリカで注目され始め、現地ではすでに浸透していますが、私がご提供しているノーレイティング型制度はアメリカ式のものと少し違っています。
それは社員の給与を誰が決定するかという点です。
アメリカ型では社員の給与を直属の上司の裁量で決定しますが、これだと社員のモチベーションが向上しづらいと考え、弊社でご提案している人事制度では、社員自身が自分の給与を上司に申告をするという仕組みを採用しています。
社員一人ひとりが自分のパフォーマンスを自身で評価し、それを給与という形に換算して申告する、その申告内容をスタートラインとして、上司や会社との対話を重ねて最終的に給与を決定するというというのが、他の人事制度にはない特徴です。
ノーレイティングのメリット
そんな人事制度を初めて知りました!ずばり、ノーレイティングのメリットは何ですか?
福留さん:点数・ランク付けに要していた時間やコストが大幅に削減できるという点です。
はじめにノーレイティングが注目され始めた背景から説明いたしますね。
多くの企業で導入されているレイティングを行う従来型の人事制度には、点数・ランク付けをする労力が、部下の評価をする管理職の大きな負担になっているという課題があります。
さらに、この点数・ランクを妥当な数字にするために、会社全体のデータを見ながら調整する工程も必要なんですが、これにもかなりの時間がかかってしまいます。
そして、こんなに時間をかけて苦労をして点数・ランクを出したからといって、それで社員さんのモチベーションが上がるというわけでもなく、むしろ不満の温床になっているケースも多いんです。
こんな不毛な作業は辞めた方が良いんじゃないかという議論の末に、ノーレイティングというカテゴリーの人事制度が誕生しました。
これまで点数・ランク付けや調整に要していた時間を削減することができれば、その時間を例えば部下のことをより深く知るための面談の時間や、あるいは部下の目標達成をサポートする業務など、より建設的な時間に充てることができます。
これこそが一番のメリットだと考えています。
それは素晴らしいですね!でも、全く新しい考え方の人事制度に戸惑われる方も多いのではありませんか?
福留さん:ですので弊社では、導入前のビジョンの共有から、社員さんの理解の促進や給与制度の移行など運用後のサポートまでをしっかりさせていただいています。
ノーレイティング型の人事制度を導入いただいている企業様の傾向としては、ご提案し始めた当初は情報感度の高いIT関連の企業様の問い合わせが多く、そういった企業は関東に多いので地域的にも東京の会社さんが多かったです。
ですが、最近では幅広い業種の企業様にご利用いただいていますし、関西の企業様も増えてきています。
私はノーレイティングに関する本も書いておりますので、ご興味を持っていただいた方はぜひそちらもチェックしてみてください。
事務所名について
事務所のことについてもう少しお聞かせください。
会社のお名前に「生きがい」という言葉を選ばれたのには、どんな理由がございますか?
福留さん:よく変わった名前ですねって言われるんですけど(笑)。独立をする時に「ノーレイティングの人事制度を広めて人の役に立ちたい」という思いが強くあったので、最初は「 働きがい」にしようかなと考えていたんです。
でも、ふとした時に働くことだけが人生のすべてではないと思ったんです。
仕事は人生の大きな時間を占める要素ではありますが、それだけではなく人々の人生そのものを応援したいという気持ちが自分の中にあることに気が付いて、それで「生きがい」という言葉を選びました。
社労士のやりがいと難しさ
社労士のお仕事の「やりがい」と「難しさ」を教えてください。
福留さん:新たな人事制度の導入を通じて、お客様に喜んでもらえたり、事業がより大きく成長したり、働く人の中にやりがいが生まれたり、そういった変化を肌で感じられるのがこの仕事の喜びですね。
難しい点は、お客様の喜ばしい変化を近くで感じられる反面、そうじゃない意見や不満もダイレクトに届くことです。
特に人事制度となるとお給料の話に直結しますから、お金の話になると社員さんの感情も大きく動きますので。
弊社のお客様は従業員が100名前後の会社さんが多いんですけど、その中にも色々なタイプの社員さんがいらっしゃいますので、 新しい人事制度の導入を全員が喜んでくださってるかというと、そうではないことも多々あります。
ノーレイティング型の人事制度は、「これからどんどん頑張っていきたい!」と考えている社員さんには受け入れられやすい考え方ですし、良い変化が起きやすいと思います。
でも一方で、現状維持を望んでいるような方には、少し難易度が高いというのも承知しています。
初めから全ての人に受け入れてもらえるとは考えていませんので、上司や会社からもサポートをしていただきながら、徐々に向き合っていただけるようになれば、それは素晴らしいことだと思います。
お仕事をするうえで大切にしていること
お仕事をされるうえで大切にされていることを教えてください。
福留さん:自然体でいることです。コンサルタントとクライアントの関係性は、お金を出してる側が「主」で、お金を受け取る側が「従」という、主従関係になってなってしまいがちです。
ですが、私には自分が目指してる人生があって、この人事制度を通してつくりたい社会のイメージがあります。
それを捻じ曲げるようなことをしてしまえば、それは私の人生にとってのマイナスになりますから、お客様に対しても変に気を使ったりせずに、自分の考えを率直にお伝えするようにしています。
それを受け止めてどう判断されるかはお客様が決めることだと思いますので。
お互いに自然体で接することができる、いわば仲間のような関係性をお客様と築いていきたいです。
読者の皆さまへメッセージ
読者の皆さまへメッセージをお願いします。
福留さん:世の中にはたくさんの社会保険労務士事務所やコンサルタント会社があります。
同じような業務をしていても、皆さん一人の人間なのでそれぞれに大切にしてる価値観や信念があると思うんです。
その価値観・信念に共感できたならば、その仕事は互いを尊重し合える素晴らしいものになるはずです。
逆にそれができないと、いくらスキルがあって立派な経歴を持っている相手でも、いつか違和感が生じてくるのではないでしょうか。
ですので、社労士を探す際には、その人の価値観・信念に共感できるかどうかという点を大切にされると良いんじゃないかなと私は考えています。
弊社の価値観・信念に共感いただいた方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。